皆さまから頂戴するご質問にお答えします。

e-seminarのコーナーは、当院でよく耳にする言葉や、こころの病気のこと、
当院での治療プログラムに関して、皆さまから頂戴する質問にお答えするコーナーです。

e-seminar質問と答えimg
  1. 自立支援医療制度について教えてください。
  2. 認知行動療法ってどんな治療法ですか?
  3. リラクセーション・自律訓練法って何ですか?
  4. グループ(集団)でプログラムを受けることに何か意味はあるのですか?
  5. Return work program(ショートケア)に参加することで、どのような効果が期待できるのですか?
  6. そもそもストレスって何ですか?
  7. ストレスをなくしたいのですが、どうすれば良いですか?
  8. それでは、そのストレスをマネージメントする方法を教えてください。
  9. 費用はどのくらいかかりますか?

1.自立支援医療制度について教えてください。

平成18年4月から、精神保健福祉法第32条の通院医療費公費負担制度は、自立支援医療費制度に変わりました。
その概要をご紹介いたします。


  • 対象者(精神通院医療)
    通院による精神医療を継続的に要する程度の病状にある方が対象となります。
  • 利用の申請
    お住まいの市区町村の担当窓口で、利用されるご本人が申請してください(担当窓口は市区町村によって名称が異なりますので、「自立支援医療の申請をしたい」と総合窓口でお伝えください)。
  • 申請の際に必要な書類
    ・自立支援医療費支給認定申請書 → 市区町村の担当窓口にて配布されています。
    ・自立支援医療診断書(精神通院医療用)
    ・主治医が作成いたします。受診時などに主治医とご相談ください。
    ・保険証(世帯構成の確認のため)
    ・世帯の課税状況の確認できるもの:例)区市町村民税課税(非課税)証明書など
    自立支援医療費制度では、申請時に、利用する医療機関と薬局を指定していただき、指定した医療機関と薬局でのみ、
    1割の自己負担となります(指定されていない医療機関や薬局では3割の自己負担となります)。
    薬局は2ヶ所まで指定することが可能です。
  • 利用方法
    申請が受理されますと、自立支援医療受給者証と自己負担上限額管理票が交付されます。 申請時に指定した医療機関や薬局を利用される際は毎回、医療機関や薬局の窓口に受給者証と管理票をご提示ください。
  • 有効期限
    受給者証の有効期限は1年間ですので、毎年更新手続きが必要となります。
  • 自己負担について
    自立支援医療費制度では、原則として医療費の1割を自己負担していただくことになります。所得に応じて負担の上限額が設定されています。
月額自己負担額表
生活保護世帯 市町村民税非課税世帯 市町村民税課税世帯
0円 受診される方の収入が80万円以下

医療費の1割
負担上限額
月額2,500円
左記以外の市町村民税非課税世帯

医療費の1割
負担上限額
月額5,000円
(1)
市町村民税
2万円未満

医療費の1割
(2)市町村民税
2万円以上
20万円未満

医療費の1割
(3)
市町村民税
20万円以上

自立支援医療対象外
(1)の世帯で、
重度かつ継続※
医療費の1割
負担上限額
月額5,000円
(2)の世帯で、
重度かつ継続※
医療費の1割
負担上限額
月額10,000円
(3)の世帯で、
重度かつ継続※
医療費の1割
負担上限額
月額20,000円

※重度かつ継続について

  • 診断名が統合失調症、躁うつ病・うつ病、てんかん、認知症等の脳機能障害、薬物関連障害(依存症等)の方
  • 3年以上の精神医療の経験を有する医師によって、集中的・継続的な通院医療を要すると判断された方
  • 医療保険の高額療養費で多数該当の方(過去1年間に、高額療養費の支給回数が既に3回以上の方)

平成19年7月1日よりファイルの通りの変更があります

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2.認知行動療法ってどんな治療法ですか?

認知行動療法とは自分の持っている認知(物事の捉え方、考え方)のあり方を検討、検証することで認知のゆがみを正し、振る舞いのスタイル(非適応的な行動)を変えることで、気分(抑うつ気分や不安感)の問題を積極的に解決していこうとする精神療法です。
また、もともと認知療法とは、1970年代にアメリカのBeck博士らにより提唱された精神療法です。近年では認知療法においても行動的技法も取り入れ、認知行動療法として行われることが多くなってきています。
うつ病、パニック傷害、社会不安障害、強迫性障害、PTSD、摂食障害などに適用され、効果が認められています。特にうつ病に対する認知行動療法の治療効果は現在までに多数の研究により確認されています。中等症までの治療に対しては薬物療法と同等の効果があるとされています。また認知行動療法は再発防止の面からも、その有効性が証明されています。
なお当院での認知行動療法はReturn work program(復職支援ショートケア)のプログラムで、主にこれから復職をしていこうという時期に再発防止を目的として、セルフケア能力の向上のために、集団での療法を行なっています。

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3.リラクセーション・自律訓練法って何ですか?

当院では、Return work program(復職支援ショートケア)のプログラムとして、セルフケア能力の向上のために、集団でのリラクセーションを行なっています。ストレスで生じた緊張や不安に対して自己コントロールし、リラックスした状態が導けるようになることを目的としています。リラクセーションは、自律訓練法をとりいれています。
自律訓練法は20世紀前半に、ドイツの精神医学者、J・H・シュルツによって確立され。その後多くの科学者の手によって改良工夫がなされて完成したストレス緩和法です。
ストレスを感じると筋肉は緊張し、不眠や頭痛、腹痛の原因ともなります。リラクセーションを通して心身ともに緊張を和らげていき、呼吸を整え、消耗されたエネルギーを補完すること、などを目的としています。
いわゆるストレス過多の状況にある、現代のビジネスパーソンにとって身につけておくべき、ストレスマネージメントの為のセルフケア・スキルであると考えています。

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4.グループ(集団)でプログラムを受けることに何か意味はあるのですか?

はい。とても大きな治療的効果が期待できます。
Yalomは、あらゆる集団でさまざまな形で機能している11の治療因子を定めています。その中で、うつ病の治療に関連して以下のような要因をあげ、それぞれがどのように治療効果を高めるかを説明しています。


  • 普遍性
    他の患者さんが同じ症状で苦しんでいることに気がつくこと、うつ病がありふれた病気であることを理解することは、患者さん本人の孤独感や孤立感を克服する手助けになります。
  • 愛他主義
    集団療法の中では、患者さんは他のメンバーの役に立つことがあると気がつくようになります。うつ病になると、症状のため実際以上の自責感にとらわれることがあるので、他人を助けることによって自尊心を取り戻すようになります。また、認知行動療法においては他のメンバーの歪んだ認知(物事のとらえかた、考え方)の修正を手伝うことを通して、同時に自分自身の認知の歪みも修正し、検証することになります。
  • 希望がもたらされる
    グループでは、他の患者さんの進歩を目の当たりにし、うつ病が永遠に続かないことを学びます。これによってもたらされた“希望”は回復への大きな助けになります。
  • 人間関係の学習
    グループでは、そこで人間関係が生じてきます。グループの他の患者さんとの結びつきを作る方法を学ぶことで、生活の中で出会う大切な人たちと再び結びつきを作る方法を取り戻していきます。
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5.Return work program(ショートケア)に参加することで、どのような効果が期待できるのですか?

当院のショートケアは、うつ病で休職中の方が復職をするためのリハビリテーションを行う治療の場です。次のような効果が期待できます。


  • 毎日同じ場所に通うこと
    安定した通勤に必要な最低限のハードルです。しかし、休職の後でいきなり満員電車に乗って出勤することは、予想もできないほどの不安と緊張を強いられ、疲れをともないます。当院のプログラムに参加することそれ自体が通勤のシミュレーション効果を期待できるのです。
  • 毎日同じ時間に起きること
    うつ病で休職した場合、まず最初にすべきことはしっかりとした休養です。休職して直後の1〜2週間は昼も夜もなく、ゴロゴロして日々を送ること自体が治療になります。このことは、治療として必要なのですが生活リズムの乱れも生じやすくなります。プログラムへ週4日から週5日参加すること自体が生活リズムを取り戻していくことにつながります。
  • 自己管理する習慣を身につける
    当院のプログラムでは自分自身の生活やその時々の考えや気分の状態をモニターするための記録をつけてもらいます。このことを通して、自分の体調やこころの状態をモニターして必要時に微調整する“自己管理”が習慣になっていきます。
    (例:疲れのためにイライラすることが多い → 就寝時間を早くして回復につとめる、緊張でドキドキして気分が悪い → リラックスするために、10分間、目を閉じて深くゆっくりとした呼吸を繰り返す)
  • 自己管理のためのスキルが身につく
    上の例にあげた対処法は、Return work programでの主なプログラムである認知行動療法や、リラクセーション・自律訓練法のプログラムへの参加を通して身につけていくことが可能となります。
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6.そもそもストレスって何ですか?

現在、ストレスとは日常的に用いられる言葉となっています。さまざまな病気の原因であるといった意味合いをはじめ、どちらかというとネガテイブな意味合いで用いられていることが多いようです。
現在は、一般的に4つの考え方があるようです。


  • 第一に、ストレスはその状態を引き起こす出来事であるという考え方で、専門的にはストレッサーと名づけられています。
  • 第二には、ストレスは反応であるという考えです。頭痛、腹痛、動悸、血圧上昇、発汗過多、息苦しさなどの身体的症状あるいは不安、抑うつなどの精神的症状がストレスであるとしています。
  • 第三は、ストレッサーに対する個人の認知および値踏みを重視し、個人がその出来事をストレスと受け止めるために精神・身体的症状であるストレス反応が起きるとする考え方です。
  • 第四の考え方においては、ストレスを全体的な現象とし、1つの出来事や状況がストレスの原因となるわけではなく、環境、生活様式、社会適応能力、などさまざまな要因が影響をおよぼすとしています。

以上の4つの考え方をまとめ、ストレスを「総合的ストレス過程」と定義するのが最近の傾向とされています。(Cooper,2004)

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7.ストレスをなくしたいのですが、どうすれば良いですか?

こういう質問をされることは少なくありません。しかし、今一度、ストレスの定義に戻ってみましょう。定義をあらためて確認すると、身体的にも精神的にもストレス反応を生じさせる要因となる出来事、ストレッサーは生活の中に数限りなく存在していることがお分かりになるでしょう。就職や引越し、結婚、昇進などの喜ばしい出来事もストレッサーとなります。また、小さいことではデザインが気に入って新しく買った靴が足にフィットしない。という事もストレッサーになりうるでしょう。何らかの生活上の変化がおこり、新しく適応していく事態が生じたときは、全てがストレッサーとなりうるといえます。そのため、ストレッサーをなくしたり、ストレッサーとなる出来事をコントロールしたりすること、さらにはストレッサーを予測することさえも難しいと言えます。
しかし、現在、ストレッサーとなっていることを把握して、自分自身がストレス下にあることや、生じているストレス反応をマネージメントする、ストレス対処力を高めることはできると、考えています。

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8.それでは、そのストレスをマネージメントする方法を教えてください。

はい。ここでは大きく、3つあげてみます。


  1. まず、自分が抱えているストレッサーを出来る限り把握すること。そして、日々、把握するように努めること。
    「なんだ、そんな事か。」と言う声が聞こえてきそうですが、毎日続けることが一番難しいことは皆さんご承知の通りだと思います。日記をつけるように自由に書き出したり、自分の気分を点数化して記入したり、体におこっている反応を箇条書きにするということを毎日おこなってみてください。これだけでも、意識せず生活するのとでは全然違った毎日となるはずです。

  2. ストレッサーを受け止める自分の受け止め方、気分、行動のおこしかたについて記録して、見直し、より健康的な考え方、行動へ修正していく。
    これは、ご自身だけで行うよりも専門的な知識をもったパートナーがいたほうが良いかもしれません。まずは、自分で取り組みたいと言う方は、「認知行動療法」に関しての書籍を参考にしてみてください。

  3. リラクセーションを行う時間を生活の中で確保する。
    ストレスの定義で述べたように、ストレッサーがあると精神的ストレス反応だけではなく、身体的にも反応がおこってきます。この身体的な反応はいずれも、緊張したときに活発になる交感神経の働きが強くなることによるものです。これは、元々人間も含めた動物が生命の危機を乗り越えるときに自然に生じる反応ですが、そういう反応が続くことはバランスを乱した不健康な状態を生んでしまいます。
    リラクセーション法・自律訓練法はゆっくりとした呼吸とイメージの力を利用して、副交感神経の働きを高める方法です。大雑把に言うと、身体的な反応を逆に利用して、調子を整えるわけです。
    その他、入浴、アロマ、ハーブ・ティー、音楽などリラックスできる方法は何でも利用して、自分自身の体の調子を整えて交感神経が過活動となることを防ぎましょう。

この1〜3は、当院で治療プログラムとして実施しております。
1の自分自身の状態を把握するためには、こころの健診であるメンタルヘルスカウンセリングを、2の認知行動療法、3の自律訓練法はそれぞれプログラムやカウンセリングとして当院で実施しておりますので、スタッフまでご相談下さい。
ストレッサーへの精神的反応である、不安や抑うつといった、ストレス関連疾患の発症を予防することにもなると思いますので、是非、ストレスを自分でマネージメントできるようにしていってください。

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9.費用はどのくらいかかりますか?

保険診療を行った場合、負担額は診療報酬の点数(1点=10円です)で決定します。当院を受診した場合の主なモデルケースを次に示します。(*いずれも10円未満は四捨五入して算出します。)


  1. 初診の場合:
    初診料(282点)+ 通院精神療法・初診(400点)+処方せん料(71点)
    以上で合計753点(7,530円)となります。
    通常の保険診療では3割負担となるので、初診時に窓口での自己負担額は7,530円×0.3=2,260円となります。

  2. 再診の場合:
    再診料(73点)+ 通院精神療法・再診(330点)+処方せん料(71点)
    以上で合計474点(4,740円)となります。
    通常の保険診療では3割負担となるので、再診時に窓口での自己負担額は4,740円×0.3=1,420円となります。

  3. Return work program(ショートケア)利用の場合:
    再診料(73点) + 精神科ショートケア(295点)
    以上で当日に処方など無い場合は、368点(3,680円)となります。
    通常の保険診療では3割負担となるので、Return work program利用時に窓口での自己負担額は3,680円×0.3=1,100円となります。

※ その他、当院で頻繁に実施する心理検査については、

  • POMS、CES-D、STAI、GHQ-60がそれぞれ80点(800円)で実施時には自己負担額は800円×0.3=240円アップします。
  • SCTは280点(2,800円)で、実施時に自己負担額は2800円×0.3=840円アップします。
  • WAIS-Ⅲ、ロールシャッハテスト450点(4,500円)で、実施時に自己負担額は4,500円×0.3=1,350円アップします。

以上が、当院で保険診療を受けた場合の基本的な自己負担額になります。個々人の状態により必要な検査や処置が追加となると、その分点数はアップし自己負担額もアップすることになります。


※初・再診およびショートケア利用のいずれも、平日18:00以降(土曜12:00以降)に受診を受付けた場合は、夜間・早朝加算で50点(500円)が加算されます。通常の3割負担の場合、窓口での自己負担額は500円×0.3=150円アップします。

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