不安症とは
不安は、日常生活の様々な場面で生じる感情です。しかし、不安が強くなり、動悸や息苦しさ、発汗などを伴い、日常生活や社会生活に支障が出てしまうことを、不安症といいます。
不安障害は、精神疾患の中で、不安を主症状とする疾患群をまとめた名称です。パニック障害、強迫性障害、社交不安障害、広場恐怖症、全般性不安障害などが含まれます。
不安の出現の仕方によって、主に3つに分類されます。一つ目は、パニック障害であり、突然に不安が出現するものです。いつどこで不安になるか予知することが困難です。二つ目は、社交不安障害、広場恐怖症であり、特定の空間や状況で不安が起こります。三つ目は、全般性不安障害であり、不安の程度は比較的重くはないのですが、状況や理由の定まらない心配や気苦労が持続します。
ここでは、よく見受けられる全般性不安障害についてご説明いたします。社交不安障害、パニック障害、強迫性障害については、別項目で取り扱っています。
全般性不安障害とは
不安がどのような場面で起こるのか、状況は特定できず、理由もはっきりしない不安や心配が持続するのが特徴です。不安の対象は、自分自身や家族のこと、仕事や経済的なこと、健康面のことなど様々です。
女性は男性に比べて約2倍発症しやすいとされています。35歳未満の若い世代の方が多いですが、どの年齢でも発症する可能性があります。女性に多いのは、ホルモンバランスの変化や、社会的に期待される性的役割によるストレスなどに原因があると考えられています。
以下のような症状がみられる方はご相談ください(例)
- 漠然とした不安が続いている
- 些細なことが心配になる
- 不安や心配が強く自分をコントロールできない
- 落ち着きがなく、緊張したり、過敏になる
- 疲れやすい
- 集中できない
- 肩こりなど筋肉が緊張している
- 発汗、手の震え、めまいなどがある
- 眠れない、または熟睡した感じがしない
神経伝達物質のアンバランスな状態が関係
発症の原因としては、不安や恐怖を抑える働きがあるとされる神経伝達物質「セロトニン」のアンバランスな状態(主に不足している状態)が考えられています。また、過去に人前で恥ずかしい経験をしたことがあるなどの「経験的要因」、他人の目を気にし過ぎる、人見知りなどの「性格的要因」、その他「遺伝的要因」などが関与しています。
治療について
薬物療法と認知行動療法などの精神療法が治療の中心で両者を併用することで治療効果は高くなると言われています。
薬物療法では抗うつ薬や抗不安薬などを用います。セロトニンを整えることで不安軽減を図ります。精神療法では、認知行動療法などで、自分のクセに気づき、不安や恐怖にとらわれている思考パターンを柔軟にしていくことを目指します。
また、全般性不安障害では生活習慣を整えることで精神の安定に繋がり、結果的にイライラしたりネガティブな感情になることを軽減していきます。そのため、十分な睡眠をとることや、バランスのよい食事、適度な運動をするなどの生活習慣を整えることも大切になってきます。